芸能界のドンとも言われていたジャニー喜多川氏ですが、2019年7月にくも膜下出血のため87歳で亡くなりました。

ジャニー喜多川氏の死後、ジャニー氏の姪である藤島ジュリー景子氏がジャニーズ事務所の社長に就任しました。また、副社長には、元ジャニーズ所属のタレントで2018年に芸能活動を引退した滝沢秀明さんが、会長にはジャニー氏の姉のメリー喜多川氏が就任しています。

ジャニー喜多川氏の死から2年後の2021年8月、姉のメリー喜多川氏も亡くなりました。肺炎により93歳で亡くなったとのことです。

ジャニーズ事務所は創業当時から、ジャニー喜多川氏が人材発掘と育成、メリー喜多川氏が経営面を手掛けてきたと言われています。新体制になってからはジャニー氏の後継者を滝沢秀明さん、メリー氏の後継者を藤島ジュリー景子氏が務め事務所を支えてきましたが、2人の関係はあまり良くはなく確執も噂されていました。確執が原因かは分かりませんが、滝沢秀明さんは2022年10月に副社長を退任し、事務所を退社しました。

2023年3月、BBC（イギリス公共放送）で、ジャニー喜多川氏が過去に所属タレントたちに性加害を行っていたとの内容のドキュメンタリー番組が放送されました。これをきっかけに、元ジャニーズJr.たちが続々と実名でジャニー喜多川氏から受けていた性被害を告白する事態となりました。

生前からジャニー喜多川氏の所属タレントたちへの性加害は噂されていましたが、芸能界のドンであるジャニー氏の悪行について大きく報じるメディアはほとんどありませんでした。しかし、被害者が次々に証言したことで、次第に各メディアでも報道されるようになっていきました。

ジャニーズ事務所が設けた有識者による「再発防止特別チーム」は、2023年8月に「ジャニー氏が半世紀以上にわたって所属する多数の未成年男性らに性加害を繰り返していた」と認定しています。ジャニー喜多川氏による性加害の被害者は数百人とも言われています。

ジャニーズ事務所は2023年9月に会見を開き、ジャニー喜多川氏の性加害の事実を認め謝罪しました。また、藤島ジュリー景子氏が社長を退任し、東山紀之さんが新社長に就任することを発表しました。

ジャニーズ事務所は、2023年10月にジャニー氏の名前を冠した社名を「SMILE-UP.」(スマイルアップ)に変更することを発表しました。SMILE-UP.は性加害の被害者のケアや補償を行う会社で、補償が終了し次第廃業する予定となっています。

ジャニーズの名前の入った関ジャニ∞やジャニーズWESTもグルー名を変更することなりました。

ジャニー喜多川氏はメリー喜多川氏や藤島ジュリー景子氏とともにジャニーズを芸能界一とも言える力を持った事務所に成長させましたが、自らの過去の行いにより崩壊させることになってしまいました。ジャニー氏の性加害の事実を知る人物は事務所内にもいたものと思われますが、ジャニー氏は存命中に制裁を受けることはなく、亡くなってから多くの悪行が明るみに出ることになりました。

数百人もの被害者がいる前代未聞の事件ながら、ジャニー氏の行為が隠蔽され続けていたのは、「同族経営」の弊害との指摘もあります。今後は外部の人間が経営に携わることで、事務所が変わってくれることを切に願います。