1999年に「週刊文春」がジャニー喜多川氏のジャニーズタレントたちへのセクハラ疑惑を報じました。

ジャニーズ事務所は名誉毀損で「週刊文春」を出版する文藝春秋を訴えたのですが、民事裁判でジャニー喜多川氏のセクハラ行為は「その重要な部分について真実」と認定されています。

ジャニー喜多川氏は裁判で、「週刊文春」にタレントたちがセクハラ被害を告発したことに対し「彼たちはうその証言をしたということを、僕は明確には言い難いです。」と、自身のセクハラ行為を認めるかのような証言をしています。

しかし、この裁判についてはマスコミで大きく報じられることはなくジャニー喜多川氏が社会的に制裁を受けることはありませんでした。

2019年7月9日、ジャニー喜多川氏がくも膜下出血のため87歳で亡くなりました。葬儀には親族や所属タレントたち150人が参列したとのことです。

ジャニー喜多川氏は、亡くなってからも事務所のタレントたちにより思い出話を語られることも多く社長として慕われる存在であったようです。

しかし、2023年3月になってイギリスの「BBC」が「J-POPの捕食者：秘められたスキャンダル」と題したドキュメンタリーで、ジャニー喜多川氏の少年たちへの性的虐待を報じたことで、この問題が世界中で注目を集めることになりました。

2023年4月には、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさんが実名・顔出しで記者会見を行いジャニー氏からの過去の性被害を告発しました。

以降、同じように告発を行う元ジャニーズタレントたちが相次ぎ、マスコミでもジャニー氏の性的虐待の事実が報じられるようになっていきました。

被害者たちの告発を受けて設置された外部の専門家による再発防止特別チームは、ジャニー喜多川氏が多数のジャニーズJr.に対し、長期間にわたって広範に性加害を繰り返していた事実が認められたとする調査報告書を2023年8月に事務所側に提出。ジャニーズ事務所は翌月に会見を開き、ジャニー喜多川氏の性加害の事実を初めて認め謝罪しました。

この会見では、ジャニー喜多川氏の姪でジャニー氏の後任として社長を務めていて藤島ジュリー景子氏が辞任すること、また新社長に東山紀之さんが就任したことも発表されました。

ジャニー喜多川氏はすでに故人であるとは言え、過去のおぞましい悪行の数々が明るみに出たことで事務所に対するイメージも悪化していきました。

そこでジャニーズ事務所は2023年10月にも会見を行い、ジャニー氏の名前を冠した社名を「SMILE-UP.」(スマイルアップ)に変更することを発表しました。SMILE-UP.では被害者の補償業務のみを行い、補償が終わり次第廃業する予定となっています。この会見の時点では、325人もの元ジャニーズタレントたちが補償を求めているとのことでした。

ドラマや映画、CM、バラエティにとそれぞれが多方面で活躍してきたジャニーズのタレントたちですが、ジャニー喜多川氏の性加害問題がメディアでも報じられるようになってから明らかに露出が減っていきました。

騒動の中、元V6の岡田准一さんや嵐の二宮和也さん、生田斗真さんらが次々に事務所からの退所を発表。また、ジャニーズの名前を使えなくなったことで、ジャニーズWESTや関ジャニ∞はグループ名の変更を余儀なくされるなど、事務所やタレントたちは大きな転換期を迎えることになりました。

ジャニーズは解体となってしまいましたが、ジャニー喜多川氏の性加害問題や事務所の今後については、まだまだ注目を集めていくことになりそうです。