兵庫県宝塚市を拠点に、豪華絢爛なミュージカルとショーを披露し続けている宝塚歌劇団。1914年が初演となり、全劇団員が未婚の女性で構成されています。

初演当時の日本では珍しかったミュージカル公演ですが、新たな娯楽だと世間からすぐに親しまれ、一台ムーブメントを巻き起こしました。爆発的な人気によって公演数、劇団員の増加に伴い、1921年から「花組」と「月組」の二つに分けて活動を開始し、その後、「雪組」、「星組」、そして2018年で20周年を迎えた「宙組」を含め、5つの組が活動しています。

「組長」と聞くと、指定暴力団の代表的な者を連想させてしまう人でしょう。しかし、「組長=暴力団」というわけではありません。宝塚歌劇団には、それぞれの組に組長が存在し、基本的に組の最年長者が組長に選ばれます。

組長の役割は、組全体の指揮に加え、舞台公演の初日や千秋楽の挨拶、組員たちのサポートを務め、組の大黒柱として活躍しているのです。

最年長者が主演を演じるのでは、と思われることもあるようですが、主演は組長ではなく、「トップスター」と呼ばれる男役のタカラジェンヌが務めています。

「スターシステム」とは、別の作品同士で世界観の繋がりがあることを意味する言葉でもありますが、宝塚歌劇団では高い実力とファン人気をランク分けした制度のことを意味します。

組の人気No.1である男役は「トップスター」と呼ばれ、組の公演では常に主演を演じます。娘役の場合は「トップ娘役」と呼ばれ、2番手、3番手と続いていくのです。

宝塚歌劇団はグッズ販売にも積極的で、宝塚歌劇団の劇場では、トップスターを前面に推したグッズやお土産などを販売し、公演の終了後は大勢のファンで売り場が賑わいます。

宝塚歌劇団の公演は、前述の5組が披露しているのですが、どこの組にも属していない「専科」の存在も忘れてはいけません。専科とは、演技力やダンスの能力に長けたタカラジェンヌたちばかりで構成されており、どの組の公演にも「特別出演」として出演することができます。

テレビドラマで例えると、エンディングのスタッフロールで最後の方に表示される役者のポジションですね。

専科も含めると6組もの組があるのですが、それぞれどのような特徴があるのか気になりますよね。

一説では、月組はミュージカル公演が得意で、星組は豪華なコスチュームが特徴的と言われていますが、どの組も演技、ダンス、衣装のレベルは高いので、宝塚歌劇団側が組ごとの特徴をアピールすることはありません。

元々、花組と月組が生まれた際も、公演数の増加と宝塚歌劇団を拡大化するために誕生しました。一番歴史が浅い宙組も、組を増設しなければいけなくなったという理由で生み出された組でもあります。

そのため、実は組ごとの特徴は特に意味がなく、宝塚歌劇団側の大人の事情で誕生しただけの可能性もあるでしょう。

宝塚歌劇団が好きになったら、どうしても気になってしまうのが組分けの仕組み。宝塚歌劇団では、組分けの仕組みは一切公表しておらず、突然組の異動を発表するタカラジェンヌも珍しくありません。

熱心なファンの分析によると、組分けの仕組みは、現状の組の全体を見て組分けをしているそうです。男らしい演技が得意なタカラジェンヌが退団したら、別の組から同じような演技ができるタカラジェンヌが異動になることもあるようですね。

まだ宝塚歌劇団のファンになったばかりの人は、好きなタカラジェンヌが異動になった際「左遷されたんじゃ…」と不安になってしまう人もいるでしょう。どの組も高レベルな公演ができるプロの集団ですので、左遷という意味で異動になることはまず有り得ません。

逆に、2番手を演じているタカラジェンヌが、トップスターに就任するため別の組に異動になる例はたくさんありますね。

専科の場合、天才的な能力や、個性溢れる演技や歌唱ができるタカラジェンヌを優先的に組分けしています。そのため、宝塚歌劇団でも年長のタカラジェンヌが多く、トップスターに就任したことがあるタカラジェンヌも所属しています。

また、実力は高く評価されているものの、ファン人気がイマイチなタカラジェンヌも、専科へ組分けされることも多いようです。

まるで別世界の人間とも思えるほどの華やかさがあるタカラジェンヌたちですが、意外と給料が安いのは有名な話です。

トップスターやトップ娘役のタカラジェンヌは十分な給料を得ていると言われています。下に続くタカラジェンヌたちは、一般的な企業に務める社員と同じか、それ以下の給料なのだそうです。

タカラジェンヌたちは、宝塚音楽学校に入学した後、未来のスターを目指して日々特訓を重ねます。後に研修生として舞台へ出演するのですが、その時期は全く給料が発生しないそうです。

ようやく宝塚歌劇団へ入団したとしても、初任給はたった12万円しかもらえないそうです。これが手取りなのかそうでないかで話が変わってきますが、一人暮らしならまず苦しい生活をしなければいけないでしょう。

ファン人気を獲得していけば、上位のランクと劇団側からも認められるようになり、給料にも反映されます。しかし、入団からあまり結果が出ない場合、初任給よりは高額になるものの、それでも満足に生活ができないほどの給料しかもらえないようです。

そういった裏事情もあることから、入団して2～3年で退団してしまうタカラジェンヌも少なくはありません。

宝塚歌劇団へ入団するには、未婚であることが絶対条件で、在籍中に結婚することもできません。そのうえで安い給料を貰いながら、タカラジェンヌとしての活動を続けなければいけません。

それでも、タカラジェンヌを目指す生徒は全く減る気配はありません。なぜなら、彼女たちは芝居とダンスが好きだという想いと、タカラジェンヌとして成功するという強い意志があるからです。