本名：沢田 泰司（さわだ たいじ）
生年月日：1966年7月12日-2011年7月17日
出身地：千葉県市川市
職業：ミュージシャン
所属事務所：YOUプロダクション

日本国内でも有数のベーシストだったTAIJIさんは、ロックミュージシャンらしい言動でも人気があり、X JAPANのメンバーとして活動していた当時は、他のメンバーと共に一世を風靡しました。ベースという楽器には、楽曲に重厚感や深みを与えるという重要な役目があるのですが、TAIJIさんのベースは、バンドの要と言えるボーカルにも匹敵するほどの存在感を放ち、天才的なベーシストとして評価されていました。

そのため、X JAPANの現ベーシストであるHEATHさんと比べる声がX JAPANのファンの間で何度も論争されており、その答えは未だに決着がついていません。

TAIJIさんは、1986年にX JAPANの改名前である「X」に加入し、1991年12月31日に脱退しています。この脱退は、TAIJIさん自らの意思で脱退を決意したわけではなく、YOSHIKIさんがTAIJIさんに対してクビと宣告したからでした。

急なクビ発言にTAIJIさんは激怒し、若い頃から度々行っていた殴り合いに発展したそうです。

TAIJIさんがなぜクビを宣告されたのか、その詳細は明らかになっていません。TAIJIさん自身も、なぜ自分がクビになってしまったのかよくわからなかったそうで、後に、バンド内の収入格差に文句を言ったことと、YOSHIKIさんのドラムプレイに文句を言うようになったことで、自身とYOSHIKIさんとの間に溝ができてしまったのではないか、と振り返っています。

クビを宣告した側のYOSHIKIさんは、TAIJIさんをクビにした理由を、大切な「約束」を破ったと答えています。その「約束」がどういったものなのか、現時点では一切判明していません。そのため、ファンの間で2つの憶測が流れました。

TAIJIさんは、中学生の時に両親が離婚し、母親が再婚したことで不良となってしまい、その当時は、過激な行動なども行っていたそうです。過去のインタビューでは、中学三年生までの間に「女、バイク、ケンカ、シンナー」を全部経験したと振り返っており、その中のシンナーが問題視されたようです。

シンナーとは、ペンキなどの塗料に使われる溶剤であり、薬物のような快感をもたらすとして、昭和時代に販売規制された少々危険なものです。TAIJIさんは、このシンナーを過去に愛用しており、さらに、生前、情緒不安定な部分もあったことから、シンナーあるいは薬を辞められなかったからクビになったと噂されています。

薬以外の憶測のひとつが、TAIJIさんが他バンドのセッションを行った、というものです。TAIJIさんのベースプレイは、他バンドから見ても惹かれてしまうほどの才能の持ち主でした。X JAPANを脱退した後は、大物ヘヴィメタルバンドLOUDNESSのメンバーに加入しています。

LOUDNESSだったのかは不明ですが、X JAPANの脱退前に、他バンドとのセッションに参加し、それを知ったYOSHIKIさんは大激怒。それによってバンドをクビになったとも言われています。

これらの憶測か事実かは不明ですが、YOSHIKIさん曰く、他のメンバーもTAIJIさんのクビに反対しなかったことから、TAIJIさん側に何らかの非があったと見られています。

X JAPANを脱退したTAIJIさんは、LOUDNESSで活動を開始し、LOUDNESSを脱退後はソロプロジェクトを発足したのですが、失敗して大金を失うこととなってしまいました。そして、妻子とも別れてしまった結果、ホームレスとして生活を送るようになりました。

ミュージシャンとは思えないほど転落してしまったTAIJIさん。ホームレス生活が2年ほど続いた際、かつての仲間であるHIDEさんの死という衝撃のニュースが、日本列島を襲いました。

急遽HIDEさんの葬儀に参列したTAIJIさんですが、そこでYOSHIKIさんをはじめ、音楽仲間たちとの再会を果たしたことで、ミュージシャンとして再起を果たすきっかけになりました。また、その当時のTAIJIさんの姿はボロボロだったのですが、その姿をみたYOSHIKIさんは、TAIJIさんに対し、200万円もの大金を手渡したそうです。

その後、ソロプロジェクトや新たなバンドの結成など、亡くなるまでミュージシャンとして活躍を続けました。

2010年のX JAPANのライブにゲスト出演し、現メンバーたちと一緒に、「X」を演奏しました。YOSHIKIさんとTAIJIさんは、また再び共演する可能性があることを仄めかし、ファンも喜んだのですが、2011年にTAIJIさんがこの世を去ったことで、共演は実現不可能となりました。